【夏の土用】ただの“ウナギの日”ではない?~”立秋”の前に、季節の曲がり角の養生時期
🌿夏の土用|整えの季節、心と脾をいたわる
■ 土用(どよう)とは?
「土用の丑の日」はよく知られていますが、そもそも「土用」とは何でしょうか?
土用は、古代中国の陰陽五行説が由来です。五行では自然界のすべてを「木・火・土・金・水」に分類し、季節では以下のように対応させます:
- 木・肝=春
- 火・心=夏
- 土・脾=土用
- 金・肺=秋
- 水・腎=冬
季節は4つ、五行は5つ。余った「土」は、季節の切り替えを司る存在とされ、春から夏、夏から秋など、四季の狭間に現れる約18日間が「土用」とされました。
この期間は「脾(土)」が中心となり、前の季節で酷使された臓腑を助け、次の季節への橋渡しをする大切な調整期間です。

■ 夏の土用は「心」から「肺」へのバトン渡し
夏の土用(2025年は7月19日〜8月6日ごろ)は、夏に活躍した「心(しん)」に血や陽気を補い、次の秋の主役「肺(はい)」へとバトンを渡す時期です。
この時期に多い不調には:
- 暑さで汗をかきすぎる/冷たい物の摂りすぎ
- 動悸・息切れ・不眠・多夢・情緒不安定
- 食欲不振・腹部の膨満感・消化不良・倦怠感・痩せやすさ
これらは、「心」と「脾」のバランスの乱れからくるものです。
■ 土用は体調の「変わり目」でもあります
土用は、心と体が変化にさらされる“季節の曲がり角”。そのため昔から、東洋医学をもとにした養生法が大切にされてきました。
たとえば——
- 土用灸(どようきゅう):体を温め、気を巡らせる伝統的なお灸
- 土用針(どようばり):バランスを整えるやさしい調整の鍼
- 食養生(しょくようじょう):旬の食材で自然に体を整える知恵
どれもすべて、「次の季節を元気に迎えるための準備」なのです。
■ 健美堂がすすめる 夏の土用の養生
🍽 食事で「心」と「脾」を労わる
暑さで体に熱がこもると、動悸・不眠・イライラなど心の不調に。湿気が重なると、食欲不振・消化不良・胃のむかつきなど脾の不調に。
おすすめの食材:
- 体の熱を冷ます:トマト・ナス・セロリ
- 利水作用を持つ:きゅうり・とうがんなどウリ科
- 心を安定させる:ゆり根・白菜などの甘い食材
甘味の強いものは水分代謝を妨げるため、塩分と一緒に摂るのが◎。スイカに塩をふるのは、理にかなった知恵です。
ただし、冷たい物や生ものの摂りすぎには注意。特にお年寄りや胃腸の弱い方は、体を冷やさず、温かくやさしい食事を心がけましょう。
■ 土用の鍼灸で、次の季節へとスムーズに
鍼灸は、自然のリズムと体の調和を取り戻す手段のひとつ。夏の土用には以下のようなツボへのケアを行います:
- 胃腸の働きを整える:足三里・中脘・太白
- 心を落ち着かせる:神門・内関・合谷
- 疲労と自律神経を調整:百会・三陰交
体と心に「ごくろうさま」を伝えるやさしい施術が、次の季節を健やかに過ごす土台になります。
■ 健美堂より
土用は、ただの“ウナギの日”ではありません。それは、季節と体の切り替えに気づき、整えるための時間。
昔ながらの「土用の灸・針・食養生」は、今を生きる私たちにもやさしく届く知恵です。
この夏の土用。がんばる前に、まずはひと呼吸。健美堂で「整える夏」をはじめてみませんか?