最新の症例紹介
【症例】14歳バスケ部男子/オスグッド病による膝の痛みが落ち着くまでの経過
「試合までに、なんとか走れるようにしたい」——大会を控えた中学2年生が、オスグッド病による膝の痛みを抱えて来院された。バスケ部の練習で日に日に悪化していく痛みに、鍼灸でどう向き合ったか。約2ヶ月半・10回の経過をご紹介する。
ご来院時の状態
14歳・中学2年生の男子。小学4年生からバスケットボールを続けており、中学ではレギュラーとして毎日の練習に打ち込んでいた。半年ほど前から練習後に膝の下が痛むようになり、ここ1ヶ月はジャンプの着地や急なストップ動作で強い痛みが走るようになっていた。
整形外科を受診し、レントゲン検査の結果「オスグッド・シュラッター病」と診断。「成長期が終わるまで様子を見ましょう」と伝えられ、湿布とサポーターで様子を見ていたが、痛みは引かなかった。大会まで残り約2ヶ月というタイミングで、「鍼灸で早く良くなればと思って」と、お母様と一緒に当院へ来院された。
来院時の主な症状:
- 左膝蓋骨下の脛骨粗面部に明らかな骨性隆起と圧痛
- しゃがみ込むと左膝に鋭い痛みが出る
- 階段の下りで左膝をかばう歩き方になる
- 練習中のジャンプ動作で痛みが増し、ダッシュの踏み込みも怖い
- 右膝にも軽度の違和感あり
東洋医学の視点(初診の所見)
お母様からお聞きすると、食欲はあるが練習から帰ると疲れきって寝てしまい、寝る時間が遅くなっていた。身長もここ1年で7センチ以上伸びているとのこと。
オスグッド病は、成長期に太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)が骨の成長に迵いつかず、膝のお皿の下を引っ張り続けることで起こる、と一般的に説明される。それに加えて東洋医学では、「筋を養う力」と「骨を支える力」のバランスから体を見ていく。
脈は沈で力がやや弱く、舌はうっすらと紫がかっていた。成長に体力の回復が追いついていない状態と、太ももの疲労物質が流れきらずに滞っている状態——その両方が重なっていると見立てた。
ご本人にはむずかしい話はせず、「痛いところの周りの筋肉が硬くなって膝を引っ張っているから、その緊張を抜いていこう」とだけ伝えた。
施術の経過
鍼灸の施術は、週1回のペースで約2ヶ月半、通算10回行った。以下、経過をご紹介する。
1〜3回目(最初の3週間)
初回は痛む膝には鍼を刺さず、太ももの前・裏・股関節まわり・ふくらはぎを中心に、全身の疲労を抜くことに集中した。成長期の体に強い刺激は避け、細い鍼で短時間の施術にとどめた。
「痛いところに鍼しないんですね」と不思議そうな顔をしていたが、施術後に立ち上がって膝を曲げたとき、「あれ、ちょっと曲げやすい」と驚いていた。
2〜3回目も同じ方針で継続。ご自宅でできる大腿四頭筋のストレッチと、練習後のアイシングを丁寧に伝えた。3回目の来院時には、階段の下りで膝をかばう動作がほぼ見られなくなっていた。
4〜6回目(1ヶ月〜1ヶ月半)
全身の緊張が緩んできたところで、膝のお皿の周りと脛骨粗面まわりに、ごく浅い鍼を少しずつ加えていった。ここでも刺激量には注意し、炎症を悪化させないことを最優先にした。
「練習後の夜のズキズキが減った気がする」とご本人から報告があったのはこの時期。お母様も「帰ってきたときの顔が違う」と話されていた。
7回目(約1ヶ月半過ぎ)——揺り戻し
ここで一度、山があった。
大会前の集中練習週間があり、普段の倍以上ジャンプやダッシュを繰り返した結果、左膝の痛みがぶり返した。しゃがむと再び鋭い痛みが出るようになり、ご本人は「せっかく良くなってきたのに、また元に戻っちゃいました」と表情が曇っていた。
この日は施術方針を一度戻し、痛む膝への直接的な刺激は控え、再び全身の疲労回復に振り切った。お母様には「練習量を落とす相談を、一度コーチとしてみてください」とお伝えした。
8〜10回目(2ヶ月〜2ヶ月半)
練習量が一時的に調整され、再び体の回復が追いついてくると、痛みは前回の揼り戻しより早いペースで引いていった。10回目の来院時には、しゃがみ込みの痛みはほぼ消え、ジャンプの着地でも膝をかばう動作が見られなくなっていた。
大会には、ほぼ全力でプレーできる状態で臨むことができた。
患者さま(とお母様)の声
「最初、膝に鍼をされると思って、けっこう怖かったです。でも全然違うところにされて、それで楽になるのが不思議でした。途中で痛みが戻ったときは『もう治らないかも』って思ったけど、先生に『練習量が戻れば体も戻る』と言われて、信じて続けてよかったです」(14歳・中学2年生・男子)
「病院では『成長期が終わるまで待ちましょう』と言われて、それまで大会も引退もずっと痛みと付き合うのかと思っていました。息子が走れる姿を見られて、来てよかったです」(お母様)
同じ悩みをお持ちの方へ
オスグッド病は、成長期が終われば自然に治まることが多い症状です。ただ、その「治まるまで」の間に、大会や試合、引退試合といった、お子さんにとって大切な時期が重なってしまうことがあります。
東洋医学では、痛む膝だけを診るのではなく、全身の筋肉の疲労、成長に追いついていない体力、練習と回復のバランス——そうした背景を整えることで、痛みが出にくい状態に近づけていきます。
刺激を強くしすぎないこと、痛む場所にいきなり触らないこと——この二つを守りながら進める鍼灸であれば、成長期のお子さんにも無理なく続けていただけます。
貝塚市・岸和田市・泉州地域で、オスグッド病の膝の痛みでお悩みのお子さんやご家族がいらっしゃいましたら、どうぞ一度、鍼灸治療院 健美堂へご相談ください。
関連ページ
この症例に近いお悩みをお持ちの方は、まずはお気軽にご相談ください。